漢方療法とは、病人の訴える症状を こと細かに聞き、更に顔色や舌や脈の状態等を参考にして、原典に記載してあ る処方をえらび調剤するものです。 従って、病人の個人差によって夫々
独自の漢方薬を与えることとなります。
例えぱ、風邪薬でも胃腸薬でも、その 人その人により、又同じ人でも症状の変化に応じ、薬が違ってまいります。
それ故、一つの病名に対して、種々の 処方が用意されております。
漢方薬は、多数の生薬(主に薬草) を配合して、一つの処方としています。 この合理的配合による相乗相殺作用が、すぱらしい効き目を現わし、且つ副作
用を少なくするのです。
そして、症状 に最も適合した処方を選び出す事が、 絶対不可欠な漢方技術です。
以上のように、漢方薬は同じ病名 でも、個人差により、沢山の違った 処方が、それぞれにありますから、 自分の体にピッタリ合った処方を選 び出すことが肝要です。
それには、漢方薬の基礎である、 陰陽五行・気・血・水説等の漢方医学を専門に勉強している病院や薬局などで、こまかく症状を訴えて、良く御相談なさることが最上の方法です。
それが難しい慢性病を治す最良の 近道です。
もし病名を聞いただけで、簡単に漢方薬を与えたり、それは神経のセイでしょうなどといって、病人のこまどまとした訴えに、あまり注意を払おうとしなかったら、それは本来の正統漢方医法では無いといわれています。